生理心理学と精神生理学
Online ISSN : 2185-551X
Print ISSN : 0289-2405
ISSN-L : 0289-2405
超短時間睡眠・覚醒スケジュールを用いた睡眠状態と夢見体験の検討
鈴木 博之久我 隆一内山 真
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 20 巻 1 号 p. 19-28

詳細
抄録

REM睡眠からの覚醒時に高い確率で夢見体験が報告される.しかし報告された夢見体験がいつ起こった体験であるかは明らかでない.本研究は夢が体験されたときの睡眠状態を特定するために, 短時間の仮眠 (nap) を繰り返し行う方法を用いて睡眠期間を一定とし, 夢報告と睡眠変数との関係を検討した.被験者は11名の健康な男性 (平均年齢=22.7±1.44歳) であった.20分間の睡眠ポリグラフ記録を1時間おきに78回連続して行った.睡眠区間終了時に夢の形式的側面 (量・鮮明度・快・不快) を評定する構造化面接を行った.REM睡眠が出現したnap (REM trials) は172, NREM睡眠のみが出現したnap (NREM trials) は563であった. REM trialsは夢報告率が51.2%であり, NREM trialsの17.9%と比べて高かった.夢得点, 夢内容の鮮明度, 快得点はREM trialsがNREM trialsに比べ高かった.これらの結果はREM睡眠時に夢見体験が多く出現することを示すと同時に, 先行するREM睡眠の影響を実験的に削除したNREM睡眠時にも夢見体験が存在することを示唆した.

著者関連情報
© 日本生理心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top