生理心理学と精神生理学
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対連合課題における事象関連電位後期成分
村田 祥子諸冨 隆
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1993 年 11 巻 2 号 p. 59-67

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抄録

記憶課題における電気生理学的な随伴事象を検討するために, 対連合課題時の事象関連電位 (ERPs) を記録した.8名の大学生に「刺激」図形と「反応」線画を記憶させるために提示した (学習セッション).学習セッション後, 「反応」線画を再生するよう求めた (再生セッション).学習, 再生セッションともに4ブロックであった.学習セッション中の刺激対に対するERPsを記録した.ブロックの繰り返しに従って再生された「反応」線画の数は増加した.対の第2刺激に対するERPsのP300成分は頭頂部で最大となった.繰り返しによってP300振幅は増大し, 頂点潜時は短縮した.これらの結果はP300が記憶獲得, 想起の過程に対して感度があることを示した.対連合課題におけるERPsにみられる陽性の増大は陽性成分の増強だけではなく, 陰性方向成分の減衰によって生じる.

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© 日本生理心理学会
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