オレオサイエンス
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特集総説論文
高齢者のうつにおけるω3系多価不飽和脂肪酸の役割
浜崎 景
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2022 年 22 巻 7 号 p. 337-341

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抄録

WHOの報告によると,世界の60歳以上の年齢層の20%以上が精神・神経疾患を患っており,最も一般的な精神・神経疾患は認知症とうつ病で,それぞれ世界の高齢者人口の約5%と7%が罹患しているとされている1)。若年層のうつ病との大きな違いは,心疾患,脳血管障害,認知症などと関連している点で2),診断や治療が遅れる可能性があり,場合によっては見落とされ,治療されないこともある。やはり生活習慣改善による一次予防が重要である。栄養学的なアプローチもここ20年ほどの間に多く報告されるようになってきたが,その中でも有望視されているのが,魚介類とその有効成分のω3系多価不飽和脂肪酸(以下ω3)である。観察研究を統合したメタ解析の結果ではリスク低減と関連しており3,4),また,介入研究のメタ解析結果からも軽減効果が認められている5)。本稿では高齢者を対象とした魚介類とω3とうつとの関連を,自験例も含めてそのメカニズムとともに解説したいと思う。

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