本研究は, 戦前の京阪神地方における住宅博覧会 (実物住宅展示会) を開催し, それらを取り込んだ郊外住宅地の開発計画について, その環境計画的な側面を実証的にあきらかにしたものである。計画的な住宅地開発と個々の住宅建築改善のすきまを埋めるべきものとして, 敷地計画のありかたを12例の住宅地において具体的に検討した。その結果, 敷地の選定段階において, 良好な環境条件を前提として開発がなされた初期の事例から, 時代を下るにつれて, 既存環境ストックとの関係に配慮し, それらを積極的に計画に取り入れるとともに街路や広場, 公園などの計画的配置と修景を通じて, ランドスケープ・デザイン的な操作による新しい景観の創出が試みられたことを指摘した。