日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
論文
微動と地震動観測記録及びMASW手法に基づいた港湾地域強震観測網仙台観測点におけるS波速度構造推定
小阪 宏之松島 信一長嶋 史明川瀬 博
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 16 巻 4 号 p. 4_167-4_183

詳細
抄録

本論文では(国研)港湾空港技術研究所の港湾地域強震観測網の仙台の観測点敷地内に於いて、多チャンネル表面波探査(MASW)法による計測を行い、ボーリング調査による地下構造が公開されているボアホール強震観測点における表層地盤のS波速度構造を求め、ボーリング調査による構造と比較した。また、観測点の敷地内の複数の地点において微動観測を行い、敷地内の各観測点について微動H/Vスペクトル比を算出した。MASW解析結果及び各地点の微動H/Vスペクトル比の結果より、観測点の敷地内はおおよそ水平成層構造であると見なせることが分かった。次に、拡散場理論に基づいた地震動のH/Vスペクトル比及び地表観測点と地中観測点の間で得られた地震動記録の水平動伝達関数をターゲットとして地下速度構造のインバージョンを行い、既往調査の結果を尊重して探索範囲を限定したため、最適解ではないものの与えた条件下において観測記録(地震動H/Vスペクトル比と地表/地中スペクトル比)をより良く説明できる速度構造が推定できた。

著者関連情報
© 2016 一般社団法人 日本地震工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top