2013 年 2013 巻 620 号 p. 620_63-620_82
2011年3月11日に発生した東日本大震災はわが国の地震保険制度に対して種々の課題を投げかけた。本稿は,財務省の「地震保険に関するプロジェクトチーム」の議論を踏まえ,そのあるべき姿に関してどのように考えるべきか,つぎの諸課題について検討を加えている。すなわち,第1に,地震保険の法的性格は損害保険か費用保険か,第2に,官民負担の在り方については政府と民間の役割分担はどうあるべきか,第3に,地震保険の強靱性・持続可能性を持たせるために再保険スキームの自動改定システムを導入すべきか第4に,付保制限の在り方は見直すべきか,第5に,マンションに特化した地震保険を構想すべきか,第6に,現行の保険料率の4等地制は維持すべきかについて考察している。