地質学雑誌
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論説
八幡浜大島に分布する大島変成岩体のジルコンU-Pb年代と地体構造上の意義
小山内 康人 北野 一平中野 伸彦足立 達朗米村 和紘吉本 紋宮下 由香里米虫 聡小松 正幸
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2021 年 127 巻 1 号 p. 1-24

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抄録

愛媛県西部八幡浜大島の大島変成岩体は,その地体構造上の意義・帰属が長年に渡り検討されてきた.本論ではジルコンおよびモナザイトのU(-Th)-Pb精密年代測定により大島変成岩体および関連岩石の年代学的特徴を明らかにした.大島変成岩体は約2000-140 Maの砕屑性ジルコン年代で特徴づけられ,約120 Maの主要高温変成作用,約110 Maのハンレイ岩・閃緑岩・トーナル岩の貫入,約100 Maのシュードタキライト脈形成を伴う脆性変形を経験したことが明らかになった.一方,大島変成岩体の南部に位置する地大島北端に分布する花崗岩質マイロナイトは約170 Maの珪長質火成活動に由来し,大島変成岩体とは全く異なる起源をもつことが明らかになった.大島変成岩体の年代学的特徴は,肥後変成岩体と極めて類似するとともに関東山地や阿武隈・日立地域の白亜紀変成・火成岩体とも対比可能であり,一連の大規模火成・変成コンプレックスが改めて認識された.

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© 2021 日本地質学会
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