澱粉科学
Online ISSN : 1884-488X
Print ISSN : 0021-5406
ISSN-L : 0021-5406
老化可溶性澱粉の糊化温度と老化温度の関係
鈴木 綾子金山 睦子安部 淳一檜作 進
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 34 巻 4 号 p. 286-291

詳細
抄録

老化の温度と老化試料の糊化温度との関係について, 可溶性澱粉とアミロデキストリンを用いて検討した結果, 次のような結果が得られた.
1) 高温で老化または結晶化した試料ほどフォトペーストグラフィの透光度曲線は, 高温側にシフトした.
2) 0-30℃で老化させた可溶性澱粉のX線回折図はB型の結晶構造を示し, 24時間のゲル期間中に部分的に分子の結晶化が進行していた.
3) 老化の期間と老化試料の溶解温度の関係は, 老化の期間よりも老化の温度に影響を受けた. そして, 低温で老化した試料を高温に保存すると溶解温度が上昇した.
4) アミロデキストリンの結晶化の場合, 可溶性澱粉の場合と同じ傾向が観察されたが, 溶解温度は可溶性澱粉よりかなり低温であった.
5) 結晶型と溶解温度の間に直接的な関係は認められなかった.
以上, 可溶性澱粉の老化 (ゲル化) もアミロデキストリンの結晶化もゲル化または結晶化の温度が溶解温度を決定することが示唆され, 澱粉粒の糊化温度の決定因子として, 粒の生成時の温度の重要性が指摘された.

著者関連情報
© 日本応用糖質科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top