1976 年 20 巻 4 号 p. 195-201
同腹のWistar系ラット16例を用い, 骨格筋線維の発達におよぼす性ホルモンの影響を組織学的に検討し, つぎのことが明らかになった. (1)体重の増加する割合は, 雄の去勢群では, 雄の対照群に比べて低下し, 雄の去勢+Ovahormon投与群では, その傾向は著明であった. (2)下肢筋の各筋重量の増加する割合は, 雄の去勢群では, 雄の対照群に比べて低下し, 雄の去勢+Ovahormon投与群では, その傾向は著るしかった. (3)M. tibialis ant. の全横断面積は, 雄の去勢群では雄の対照群に比べて, 赤筋線維5.1%, 中間筋線維8.8%, 白筋線維3.6%の低下を示し, 雄の去勢+Ovahormon投与群では, それぞれ20.3%, 25.0%, 29.0%の低下を示した. (4)M. tibialis ant. の筋線維一本あたりの平均横断面積は, 雄の去勢群, 雄の去勢+Ovahormon投与群とも, 赤筋線維, 中間筋線維および白筋線維において, 全横断面積の場合と同じ傾向を示した.