福島医学雑誌
Online ISSN : 2436-7826
Print ISSN : 0016-2582
活動報告
奥会津4町村における新型コロナウイルスワクチン接種支援
押部 郁朗鎌田 一宏斉藤 有佳今野 一美柏木 久美子乳井 恵子管 麻理恵栗城 康一阿部 和彦小山田 睦美山中 克郎
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2022 年 72 巻 2 号 p. 73-83

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抄録

要旨:新型コロナウイルス感染症への有効な対策として,全世界でワクチン接種が進められている。奥会津在宅医療センターは福島県立宮下病院の一部門であり,柳津町・三島町・金山町・昭和村の奥会津4町村において,ワクチン集団接種と巡回接種の支援を行った。これら4町村と奥会津在宅医療センターは2021年3月よりワクチン接種に関する協議を開始し,5月からワクチン接種が実施された。4町村の集団接種は2021年5月から8月にかけて計20回実施され,奥会津在宅医療センターは全ての集団接種で問診や接種,接種後の経過観察などを担当する支援を行った。のべ2,290名が接種を行い,接種後に対応を要したケースは14件だった。うち4件で抗アレルギー薬の処方を行い,2件は医療機関の受診をすめた。巡回接種では79名が接種を受け,接種後に対応を要したケースはなかった。ワクチン接種の準備においては先行して接種を実施していた会津医療センターへの視察の実施や,住民に配布する資料の作成に関する助言など,前例のない事業に取り組む各町村の負担を軽減する点にも重点をおいた。また今回の取り組みには,前年に三島町の一地区で実施されたインフルエンザワクチンの集団接種の知見と経験が生かされた。今後は今回の取り組みで深められた各町村や医療機関との連携をもとに,新型コロナウイルスワクチンの3回目接種の実施も念頭に置きつつ,地域住民の健康と安心を守るための継続的な活動が4町村から奥会津在宅医療センターには期待されている。

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