積雪のせん断強度を簡便なせん断試験器を用いて現地測定した.これらの測定値はせん断試験器のフレームサイズ,構造(台形型と円筒型),引っ張り速度,せん断面への垂直荷重の影響を受けることが指摘されている.しかし,本研究で用いたサイズ(0.010~0.025m2)と構造の異なるせん断試験器による測定値に違いは認められなかった.せん断面に垂直荷重が加わっても,粘着性の弱い一部の雪質を除いて,ほとんどの雪質でせん断強度への影響は小さかった.乾いた新雪,こしまり雪,およびしまり雪のせん断強度は,密度のべき乗の関数で示された.乾きざらめ雪のせん断強度も密度のべき乗の関数で示すことができるが,乾いた他の雪質に比べるとせん断強度が小さくなった.乾き密度が等しい雪のせん断強度を比較すると,濡れ雪のせん断強度は乾き雪より小さくなった.含水率が大きくなるほどせん断強度は小さくなり,乾き雪に対する濡れ雪のせん断強度の減少率は体積含水率の指数関数で表すことができた.