栄養学雑誌
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研究ノート
高校生の食育への関心度からみた食知識・配慮・調理技術・食の主観的評価の実態
小田 麗子永井 由美子
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2021 年 79 巻 5 号 p. 302-310

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抄録

【目的】大阪市内の高等学校に通う高校生の食育への関心度からみた,食知識・配慮・調理技術・食の主観的評価の実態を明らかにすること。

【方法】大阪市立A高等学校の全校生徒686名を対象に,無記名自記式質問紙調査を行った。因子分析により抽出された「食育関心度」(食育とは知っているか・食育の情報を得られているか・食育について関心があるか・食育は自分にとって必要か)の回答から,「食育関心度」高群と低群の2群に分けた。さらに食知識,調理技術などの各質問項目の回答は,2群に分け,「食育関心度」高群,低群の回答の分布をχ2 検定で比較した。

【結果】「食育関心度」高群は低群と比べ,食に関する知識(主食・主菜・副菜について,1日の食事バランス,食品表示を見る方法,伝統的な料理や行事食について,和食がユネスコ文化遺産となったこと)を知っている者,食生活(栄養バランスよく,野菜を多く食べる,加工食品を取りすぎない,塩分をとりすぎない,食品表示を見る)についての配慮をしている者,調理(だしのとり方,煮物調理,揚げ物の調理,一汁三菜)ができる者の割合が有意に高く,食事が満足,楽しいと思う者の割合も高かった。一方,「食育関心度」低群は,穀類,野菜類の摂取が1日1回以下の者の割合が高かった。

【結論】高校生において,「食育関心度」と食知識・配慮・調理技術・食の主観的評価の実態には関係性があることが示唆された。

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