栄養学雑誌
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多変量解析法による食物摂取とウ蝕の関係
垣本 充河野 友美渡部 由美岡崎 卓司
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1979 年 37 巻 6 号 p. 289-295

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抄録

18~19歳の女子108名を対象にして, 食物摂取とウ蝕の関係について, 多変量解析法により検討を加えた。食物摂取量は週日連続3日間の食事調査により, 乳類, 卵類, 魚介類, 肉類, 豆類, 野菜類, 緑黄野菜, 淡色野菜, いも類, 海草類, 果実類, 穀類, 菓子類, 嗜好飲料, 油脂類, 調理用砂糖, きのこ類, 調味料, 種実類の19食品群別の1日当たりの摂取量を求めた。ウ蝕の罹患状態はDMF歯率によった。
DMF歯率は野菜類と危険率0.5%水準で, きのこ類と危険率5%水準で, 逆相関が成立し, 果実類と危険率5%水準で相関が成立することを有意と認めた。
つづいて, 相関行列を主成分分析して, Z1~Z9の9主成分を得た。これらの累積寄与率は70.7%であった。各主成分の解釈が困難であったので, 因子軸の直交回転を行いF1~F9の9因子を得た。
F1 (ウ蝕と野菜類), F5 (ウ蝕と果実類, 菓子類) がウ蝕と食物に関係する因子であった。今回明らかにした9主成分のうち, 食物摂取に関して, ウ蝕に関係する因子は全体の約1/3程度寄与していた。

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