2013 年 27 巻 3 号 p. 373-378
症例1:90歳,女性。左頬部に10×9cm大の多結節性紅色腫瘤を認め,生検にてMerkel細胞癌と診断。放射線療法で完全寛解し,照射終了12ヵ月後の時点で再発,転移はない。症例2:80歳,男性。左眉毛部内側の皮下結節。近医での切除生検にてMerkel細胞癌と診断され,切除断端が陽性のため,当科で放射線療法を行い,照射終了29ヵ月後の時点で再発,転移はない。症例3:86歳,男性。左前腕の紅色腫瘤。近医の切除生検にてMerkel細胞癌と診断され,切除断端が陽性で局所再発したため,当科で放射線療法を施行。経過中腋窩リンパ節転移が出現したため,リンパ領域も併せて照射。終了12ヵ月後の時点で再発・転移はない。現在Merkel細胞癌の標準治療は手術+放射線療法である。本腫瘍は放射線感受性が高く,自験例のごとく放射線単独療法でも高い局所制御効果があるため,高齢で手術が困難な症例では積極的に用いてもよい治療と考えた。