音声言語医学
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聴覚障害乳児の早期療育
中村 公枝
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2004 年 45 巻 3 号 p. 217-223

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抄録

新生児聴覚スクリーニング検査の実施に伴う聴覚障害乳児の早期療育の現状と課題について検討した.早期療育・教育体制は, アンケート調査の結果から, 専門機関の不足, 地域格差, 人材および専門性の不足が明らかとなった.0歳児療育・教育の目的は, 安定した母子コミュニケーションを保障し, 必要な養育環境を整え, 健やかな母子関係を育むことであり, そのための支援体制の構築が必要である.早期療育では, (1) 難聴の疑義および診断直後から母親や家族に必要な早期介入を実施し, 親の自立的な子育てを支援すること, (2) 母子が一体化している乳児期には母子臨床の視点からのアプローチが有効であること, (3) 最大限の聴覚補償を実施すること, (4) 視覚を十分に活用した前言語的コミュニケーションの形成を図ること, が必要と考える.

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© 日本音声言語医学会
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