音声言語医学
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ラインケ浮腫の診断治療の現状と将来
―特に声帯縁粘膜保存手術について―
森 一功平野 実
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1996 年 37 巻 2 号 p. 235-240

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抄録

音声外科領域のうち, 特にラインケ浮腫について疫学, 診断, 治療の現状を述べ, 手術について詳説した.
治療方針としては, すべての症例に禁煙を強く指導し, II, III型には積極的に手術を勧めるべきであるが, heavy smokerで軽度の浮腫の場合や手術をいやがる軽度の浮腫の場合は, まず禁煙のみで経過を観察し, 改善しなければ手術を勧めるのがよかろうと考えられる.
手術に関しては, 声帯振動の観点からすると, 声帯遊離縁部の粘膜を可及的に残すことが最重要であり, そのために吸引法, Squeezing法, Grasping法などが考案されてきている.これらのテクニックは, 必要に応じて適宜組み合わされて使われている.そこで, これらは「声帯縁粘膜保存手術」というような名称でひとまとめにして呼ぶことを提唱したい.
さらに, 現在残されている問題点, 今後何が解明, 発展されねばならないかにふれた.

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