応用地質
Online ISSN : 1884-0973
Print ISSN : 0286-7737
ISSN-L : 0286-7737
論文
地中レーダを用いた坑道近傍の岩盤内の水みちとしての割れ目の評価
升元 一彦竹内 竜史
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 57 巻 4 号 p. 154-161

詳細
抄録

岩盤内に地下坑道を掘削する際,坑道周辺に生じる割れ目群は,岩盤空洞の力学安定に関する問題を生じさせると共に地下水の透水経路としての問題も生じさせる.具体的には,水封式岩盤貯蔵の地下水管理や放射性廃棄物地層処分などでの坑道背面の湧水対策において,坑道周辺に分布する水みちとしての割れ目の状態を把握しておくことは重要である.この課題に対し,筆者らは坑道周辺の岩盤割れ目の地下水状況の面的な評価を非破壊で行う方法として地中レーダに着目し,地中レーダにより得られるデータから,割れ目の幾何学的な分布情報だけでなくその割れ目内の地下水の浸透状況の評価方法の検討を進めている.今回,花崗岩中の割れ目内への地下水の浸透状況に関する地中レーダによる評価方法の検証を目的に,瑞浪超深地層研究所の深度500m研究アクセス南坑道において検証試験を実施した.その結果,地中レーダを用いた評価方法により,坑道周辺の岩盤割れ目の水みちとしての評価が可能であること,また,その割れ目に対する塩水の浸透過程を地中レーダの反射波形や卓越周波数の変化により評価可能であることを示すことができた.

著者関連情報
© 2016 一般社団法人 日本応用地質学会
feedback
Top