2020 年 54 巻 3 号 p. 264-269
糖類は生命活動において不可欠な栄養素であるが, 糖化反応によって生体内のタンパク質が架橋形成されると立体構造が変化し, その活性や物性に多大な影響を及ぼすことがしられている。皮膚ではコラーゲンやエラスチンなどの半減期が長いタンパク質が糖化による影響を受けやすく, 褐変化して糖化最終生成物 (advanced glycation end products; AGEs) が蓄積し, シワやクスミの増加, 弾力の低下や乾燥などの老化現象が引き起こされる。本研究では, 糖化が表皮機能に及ぼす影響に着目し検討したところ, 糖化したコラーゲンあるいは基底膜抽出物上で培養した表皮角化細胞ではATP 産生量の減少, 表皮機能の維持に重要なフィラグリン, セリンパルミトイルトランスフェラーゼ2 およびトランスグルタミナーゼ1 の発現低下が認められ, ワイルドタイムエキスに, これらの表皮機能低下を防御する作用が認められたので報告する。