2016 年 91 巻 suppl 号 p. 54-67
幕末の1860–1864 年に来日したマキシモヴィッチ(C. J. Maximowicz) は,日本の植物相の再検討を目ざし,自らが採集した標本だけでなく,Siebold など先人研究者が集めた標本の収集にも努めた.こうしたマキシモヴィッチの収集品は,現在,ロシア科学アカデミー・コマロフ植物研究所標本室(LE) に保管され,世界的にも特色のあるユニークな歴史的コレクションとなっている.
マキシモヴィッチは1880 年代に,日本の植物学者との交流を深め,彼らから送られてきた標本の同定を積極的に進めた.こうした活動を通じて,彼は日本の多くの植物学者の賞賛を得ただけでなく,日本の植物学の発展にたいしても多大な貢献をはたした.