植物研究雑誌
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アジア産トリカブト属植物(キンポウゲ科)の分類学的研究XII. 北海道産レイジンソウ亜属の1 新種, ソウヤレイジンソウ
門田裕一
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2007 年 82 巻 1 号 p. 41-44

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抄録

北海道中頓別町からトリカブト属レイジンソウ亜属の1新種,ソウヤレイジンソウ Aconitum soyaense Kadota を記載した.ソウヤレイジンソウは道内に普通に見られるエゾレイジンソウ A. gigas H. Lev. & Vaniot や本州のオオレイジンソウ A. umbrosum (Korsh.) Kom. と次の点で異なっている:(1)萼片に滑面開出毛がはえる,(2)心皮あるいは袋果に滑面斜上毛がはえる,(3)上萼片 (かぶと) は円頂の三角形で,嘴が短く,トリカブト亜属の上萼片に似る,(4)茎がよく分枝して,枝は開出して伸長し,(5)種子が長さ2.5 mm と小さい,(6)花弁の舷部が長さ 4 mm,幅 2 mm とより大きい,(7)葉の両面に長い滑面伏毛がある.

 ソウヤレイジンソウは今のところ幌延町と中頓別町の町境に位置する知駒岳東面の掬水沢(菊水川)にしか知られていない.掬水沢の産地は蛇紋岩地域で,本種は蛇紋岩植物の一つと考えられ,周辺にはセイヤブシやホソバエゾノコギリソウなどが生育している.

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© 2007 植物研究雑誌編集委員会
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