日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第43回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 43_4-C-P-135
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一般演題 ポスター
ブロックチェーン技術導入による臨床研究効率化の検討
*遠藤 明史榛澤 義明田中 佑美矢島 祐介石橋 恵理萬 巴里子坂巻 泰則平井 高志山本 浩平小池 竜司上野 太郎桑原 宏哉
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抄録

【背景】昨年本学会で、大学病院臨床試験アライアンス(UHCTA)の調査においてコロナ禍で臨床研究環境のIT化が進んでいるが、モニタリングにおいてはまだ改善が大きく期待されることを報告した。中央モニタリングやRBMも進められているが、Certified Copy作成の負荷、リスクの洗い出しのプロセス負荷、保守的な選定など結果としてまだ負担軽減につながっていないように思われる。一方、モニタリング業務のうちSDVについては、データ改ざんが困難なブロックチェーン(BC)技術を運用することにより実地照合を不要として良いことが令和2年12月4日付で厚生労働省から通知された。本研究では、BC技術を導入することにより、どの程度臨床研究が効率化されるか検証した。【目的】ブロックチェーン技術導入による臨床研究の効率化を定量化する。【方法】脊椎症患者を対象の臨床研究において、BC技術を用いたモニタリング手法と従来のモニタリング手法を比較し、所要時間や指摘事項等を検討した。従来法では原資料からCRCが手動でCRFに転記を行い、SDV作業においてCRFと原資料との照合作業を実施するが、BC法では、eワークシート(WS)を用いることで医療情報は自動的にeCRFに同期され、データの信頼性はBC技術により担保されるため、データの照合作業は不要となる。本研究はUHCTAの連携支援の協力を受け行った。【結果】モニターの所要時間は従来法で中央値40.5分に対しBC法で中央値21.9分と短縮された。クエリ数についても、従来法では中央値7.5個に対し、BC法で4.0個と減少傾向を認めた。また、CRC・医師の所要時間についても、従来法では中央値100.6分だったのに対して、BC法では中央値68.4分と所要時間の短縮を認めた。BC法では紙WSの準備やEDCへの入力などが省略可能なことが要因として得られた。【考察】BC技術導入により、予想通りモニターの作業効率は上昇した。とくにデータの原資料がeWSに集約される試験では、BC技術導入効果が高いと思われた。またCRC・医師の所要時間も短縮しており、eWSの導入により診療現場においても効率が上昇した可能性が考えられる。今後電子カルテとの効率的な連携が期待される。【結論】BC技術を導入することにより、臨床研究効率化が期待できる。

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© 2022 日本臨床薬理学会
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