日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第43回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 43_2-C-O07-4
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一般演題 口演
1人の被験者に2人の責任医師が存在する細胞等製品の医師主導治験の臨床研究コーディネーターを経験して
*石川 ひろみ堀口 留美子檜垣 八千代山辺 貴子渡邉 さをり藤瀬 智美川上 千鶴門田 芳幸甲斐 優子仲田 浩成岡本 龍郎江崎 泰斗
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抄録

【目的】多施設共同医師主導治験で、治験製品製造のためのアフェレーシス実施から治験製品の投与までを当院が全て行う治験を経験した。当院以外の施設は同意取得・登録・追跡調査のみを実施する「実施施設」であり、当院はそれに加えてアフェレーシスと治験製品の投与を実施する「投与施設」の役割を担う。他施設で治験製品投与群に割り付けられた被験者は、アフェレーシスと治験製品投与時のみ投与施設である当院に来院する必要がある。その間の被験者の安全性管理は当院の責任医師が担う。そのため他施設からアフェレースと治験製品投与のために来院する被験者には、当院の同意説明文書でも同意を取得する必要があった。治験治療の経過の中で責任医師が一時的に変更になる治験を経験したので報告する。【方法】同意説明文書の作成補助時にあたって、他施設で治験参加の同意を得て来院する被験者用と最初から当院で同意を取得する被験者用の2種類を作成し保管した。施設間の情報共有の方法を検討しWEB会議を実施した。原資料の保管は手順書に従って行った。SAE発生時の書類作成補助時には、責任医師同士で情報交換された内容は当院の責任医師から連絡を受けCRCも知り得るようにしSAE報告の遅延を防ぐ対策を検討した。【結果・考察】同意説明文書は、他施設の被験者に対し「治験製品投与用」と「実施施設用」2種の取得が必要だが、同意取得や保管に関して問題は発生しなかった。当院で取得した同意書は原本を当院保管し、実施施設へは複写を送付し保管を依頼した。他施設の被験者で、当院で治験製品投与後にSAEが発生しSAEが継続したまま他施設へ帰院する事例が発生した。事象名やSAE報告に必要な情報の統一が必要であり、当院と他施設の責任医師が必要な情報を原資料に記載できるよう支援した。両施設のCRC間で原資料の疑問点や問診情報の事実関係の確認等を実施した。SAE報告の遅延は発生しなかった。またWEB会議を利用して情報交換できたため、直接CRC間での情報共有が可能となり原資料の作成の時間短縮に繋がった。【結論】1人の被験者に2人の責任医師が存在しても、責任医師同士が情報共有した内容をCRCが速やかに知り得るよう対応することは通常の治験と変わりない。しかし責任医師同士が情報交換をする日時は不定期であり、配慮は必要。実施施設と投与施設の情報共有のためのWEB会議は有用である。

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