日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第42回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 42_1-P-E-7
会議情報

一般演題(ポスター)
新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック下における医師主導治験・再生医療等臨床研究への対応について
*楠 康代網野 祥子黒田 明子堀尾 綾香山本 美代子川端 美由紀笠井 宏委星野 伸晃池田 香織加藤 貴雄永井 洋士
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】2020年1月の厚生労働省からの注意喚起から始まった世界的な新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)のパンデミックは、本邦の治験・臨床研究等の実施に大きく影響した。本院が主導している実施中の医師主導治験・再生医療等臨床研究(以下、医師主導治験・再生医療研究)で経験した対応について報告する。

【方法】スタディマネジメントユニット(以下、当ユニット)では、2020年4月時点で、7課題の医師主導治験・再生医療研究を実施中であった。本院では、当院職員等の行動方針により外部関係者との面会、対面会議、移動などの制限が講じられた。また、治験・臨床研究等の実施に関する方針も出され、当院で実施する臨床研究(治験を含む)については、方針に従った対応が求められた。当ユニットでは、PMDAから迅速に発出されたQ&Aも参考に、実施中の医師主導治験・再生医療研究において、被験者に対する対応(新規の症例登録、治験薬投与中の被験者、観察中の被験者)、治験関連文書の改訂、治験薬等の調達など、各医師主導治験・再生医療研究の進捗状況に応じてPIや治験関係者と検討して対応した。

【結果・考察】実施中の7課題の医師主導治験・再生医療研究においては、全課題でCOVID-19感染下における治験実施に関して調整の対応をしていた。治験薬投与中の被験者に対しては、治験薬配送(2課題)、他医療機関連携による検査等の実施(1課題)があった。治験関連文書の対応としては、治験実施計画書の改訂(5課題)、治験計画(再生医療等提供計画)変更届の提出(4課題)、関係企業との契約変更手続き(1課題)、監査手順書の改訂(2課題)を実施していた。また、治験期間延長に伴う治験薬等の期限切れなどが発生したため、治験薬や未承認医療機器の追加製造(1課題)、未承認薬輸入の追加調整(1課題)などが発生していた。その他、研究費への影響としては、COVID-19関連で発生した治験薬配送にかかる追加費用、被験者の検査費用、海外からの未承認薬の輸入費用の増大など、研究費の管理(3課題)に影響していた。さらに、原則、全課題でWeb会議システムに移行した。

【結論】7課題の医師主導治験・再生医療研究においては、COVID-19の感染拡大により、治験実施期間の延長、治験薬等の製造や調達、治験の研究費管理などに影響はあったが、全課題においてCOVID-19の感染拡大により中止することなく進めることができた。

著者関連情報
© 2021 日本臨床薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top