2016 年 65 巻 4 号 p. 669-672
深部に発生した脂肪性腫瘍は良悪の診断に難渋する場合がある.当院における深部発生脂肪性腫瘍の診断と治療成績を報告する.対象は,2005年4月から2015年4月まで当院で加療した52例(男22女30)で,平均年齢64歳(36~84),発生部位は大腿23例上腕10背部6頸部4前腕3胸腹部3その他4,平均観察期間は6ヵ月(3~72)であった.診断は,筋内脂肪腫15例,筋間脂肪腫22,異型脂肪腫様脂肪腫16であった.異型脂肪腫様脂肪腫2例(13%)に再発・脱分化を認めた.異型脂肪腫様脂肪腫と筋内・筋間脂肪腫の最大径を比較すると,有意に前者が大きかった(平均182 mm vs 86 mm, p<0.01).筋間脂肪腫はダンベル型を,筋内脂肪腫・異型脂肪腫様脂肪腫は球形を呈することが多かった.異型脂肪腫様脂肪腫は再発・脱分化する症例があり慎重な経過観察を要する.