日本ハンセン病学会雑誌
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ハンセン病治癒判定基準
並里 まさ子後藤 正道儀同 政一細川 篤杉田 泰之石井 則久長尾 榮治尾崎 元昭
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2002 年 71 巻 3 号 p. 235-238

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抄録

ハンセン病医療の一般医療への統合に伴って、一般の医療施設でハンセン病の診療が行なわれることになった。このため、日本ハンセン病学会は2000年に「ハンセン病治療指針」1)を発表し、化学療法はじめ診断と治療、障害の予防と治療についてのガイドラインを示した。
日本で臨床的に治癒の概念が定義され、公的に使用されるようになったのは、1989年の病型表示に関する協同研究の報告2)からである。その後、治療薬の種類が増え、多剤併用療法が普及するに伴って治療成績が向上し、従来の治癒判定基準を改訂する必要性が生じてきた。
WHO/MDT(1997)3)や上述の「治療指針」に基づいて治療を受けた患者の、新たな治癒判定の基準と判定後のハンセン病再発、後遺症や合併症などについての注意事項を明確にするため、厚生労働省「新興・再興感染症研究事業」のハンセン病研究の一環として、治癒判定の基準を設ける委員会が組織された。委員会は治癒判定基準について討議し、委員会案を作成して日本ハンセン病学会会員に検討を求め、この基準をまとめた。治療指針とともにこの基準が活用され、日本のハンセン病医療が施設や担当者に関わりなく、等質の医療を患者に提供するものとなることを希望する。

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