日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PT-005
会議情報

20.環境
オンライン空間と実空間での演劇のライブ感や送り手ー受け手関係の違いの探索的検討(2)評価グリッド法による結果
*竹澤(破田野) 智美広田 すみれ
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

COVID-19流行による活動自粛や技術の向上にともない,舞台芸術のweb配信を試みる動きが活発になった。この動きは当初,舞台芸術を存続させるための苦肉の策であったが,劇場にはない,配信ならではの「よさ」も見出されつつある。しかしそのような「よさ」は主観的な印象や感情に由来するため,その全体像を客観的に把握することが難しい。そこで本研究では,双方の経験がある演劇関係者を対象に,劇場と配信それぞれのよい点と,その理由を評価グリッド法により聴取し,「よさ」の可視化を試みた。なお評価グリッド法とは,まず事象の評価を尋ね,その評価に至る抽象的あるいは具体的な理由を連続的に問うことで,その事象の認識を構造図として定性的に把握する方法である。この可視化により,場所や時間を共有でき,同じ体験を得られることが劇場の「よさ」であるのに対し,足を運ぶ必要がなく,作品に触れる機会が増え,現実を超えた表現を体験できることが配信の「よさ」であるとの認識を総合的に把握できた。なお構造図の取得にあたり,JST COIプログラムの支援を受け関西学院大学によって開発された「価値構造視覚化(ESV)システム」を使用した。

著者関連情報
© 2021 公益社団法人 日本心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top