日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PO-051
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15.発達
6ヵ月齢児の表情刺激への注視時間と養育者との社会的関係性との関連
*矢藤 優子孫 怡藤戸 麻美岡本 尚子安田 裕子サトウ タツヤ鈴木 華子肥後 克己中田 友貴破田野 智己土元 哲平神崎 真実
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抄録

先行研究では乳児の表情認知のバイアスが養育環境と関連していることが指摘されている。本研究では発達初期にある乳児の表情刺激への注視時間を測定し,行動観察による養育者との社会的関係性との関連について調べた。生後6ヵ月齢児25名(男児10名・女児15名)とその母親を対象とし,乳児に対して4種類の表情(ニュートラル/怒り/悲しみ/笑顔)をした成人女性の映像をランダムに1種類ずつ8秒間提示し,注視時間を測定した。行動観察では,親子で積木課題に取り組む様子を撮影し「かかわり指標(IRS)」(安梅他,2008)によって親子の社会的関係性を数値化した。その結果,乳児の悲しみ表情への注視時間とIRS「子どもの主体性」との間に有意な正の相関がみられた(r=.405, p<.05)。また,すべての表情刺激に対する注視時間について高群(n=15)/低群(n=10)に分けIRS得点を比較した結果,高群のほうがIRS「子どもの主体性」得点が有意に高かった(t=2.069, p=.050)。以上のことから,本研究により養育者に主体的に働きかける乳児は,他者の表情,特に悲しみ表情への感受性が高いことが示唆された。

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