日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PO-040
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15.発達
成人期以降におけるなつかしさ傾向性とE。エリクソンの発達課題との関連
*豊島 彩楠見 孝
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抄録

本研究では,成人期以降の発達課題の達成度となつかしさ傾向性が関連するかどうか,さらに年齢による影響があるかを検討することを目的とした。2021年3月にWEB調査を行い,全国の20歳以上の男女1322名(内男性650名,平均年齢54.4(SD=18.1)歳)を分析対象者とした。分析に使用した項目として,エリクソンの発達課題達成尺度(下仲他,2000)のうち,成人期の親密性,壮年期の世代性,老年期の統合性,なつかしさ傾向性(楠見,2021)として,ネガティブ傾向性,ポジティブ傾向性,回想傾向性の項目得点を使用した。発達課題の達成度を従属変数,年齢,ネガティブ傾向性,ポジティブ傾向性,交互作用を投入した重回帰分析を行った。その結果,親密性,世代性,統合性の全ての分析モデルにて,ネガティブ傾向性とポジティブ傾向性の主効果,年齢とネガティブ傾向性の交互作用が有意であった。本研究の結果から,老年期だけではなく成人期,壮年期の発達課題の達成度にもなつかしさ傾向性が関連することが明らかとなった。さらに,交互作用の結果から,ネガティブ傾向性が低く高齢であるほど,発達課題の達成度が高いことが示された。

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© 2021 公益社団法人 日本心理学会
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