主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
私たちは悲しみを表わすとき,悲しいというカテゴリ的言語表現を直接使わずに,「俯いた姿勢をとる」,「しくしく泣く」というように非カテゴリ的に表現することがよくある。本研究では,悲しみというカテゴリ的語彙を使わずに,非言語的特徴である身体表出と悲しみ関連語である「オノマトペ」との関連を調べることで,悲しみという感情概念を構成する特徴構造について明らかにすることを目的とした。仮説として,「泣きを典型的に示す手の位置が優位特徴として,泣きオノマトペ(e.g.“ぼろぼろ”)の適合度の強さを決め,姿勢が下位特徴として働く」と予想した。大学生48名を対象に,身体表出画像とオノマトペとの関係について適合性評価を求めた。オノマトペに対する適合度を用い,コミュニティ分析により身体表出をグループ化した。結果,目の周辺や顔全体に手が置かれた身体表出が,姿勢の違いに関わらず,適合度が高いグループを形成した。一方,そのグループ内部では,姿勢の活性度の違いにより適合度に違いが示された。これらの結果は,悲しみ概念を構成する身体表出特徴には優位性があることを示唆している。