日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PC-142
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3. 社会・文化
首都直下地震に関する防災啓発番組による知識獲得―知識ギャップ仮説に着目して―
*安本 真也河井 大介齋藤 さやか関谷 直也
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抄録

本研究は,内閣府による首都直下地震の想定を基に制作されたドラマ「パラレル東京」が人々の知識にどのような影響を与えたのかを明らかにすることを目的とする。

Tichenorの知識ギャップ仮説を基に,首都直下地震に関する知識を持っている人ほどを,ドラマを視聴し,視聴した人ほどさらに首都直下地震に関する知識を手にすることで,その後も知識を増加させ,時間の経過とともに視聴していない人との知識の差が拡大する,という仮説をたて,このドラマが放送される前後に3波(放送直前,直後,放送の3か月後)のパネル調査を実施した。その結果,第一に,元々,首都直下地震に関して知識のある人の方がドラマを視聴し,知識が低い人の方が視聴しなかった。第二に,ドラマを視聴した人は直後,知識量が増加し,視聴していない人との知識量の差が拡大した。第三に,一定期間が経過した後,ドラマを視聴した人と視聴しなかった人の間で知識量の差は広がらなかった。第四にドラマを視聴した人と視聴しなかった人の間の知識量の差は放送前と同水準であるが,知識量は全体として,番組放送前よりも増加していたことが明らかとなった。

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