日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PB-016
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2. 人格
大学生のキャリア発達は入学時学力偏差値によって異なるのか―入試難易度の異なる大学間の比較―
*番田 清美家島 明彦大塚 啓太
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抄録

大学の多様化が進んでいるが,大学の種別によって学生のキャリア発達に差があるのかを検討した研究はほとんど見られない。本研究では,入学時に求められる学力偏差値が異なる2つの大学群において大学生のキャリア発達を比較検討することで,それぞれの特徴を明らかにし,大学群固有の文脈を考慮した大学生のキャリア発達支援のあり方を検討する。キャリア発達の測定にあたり,青年後期及び成人初期の職業選択時の課題とされる「アイデンティティの確立」と,社会人への移行期において個人の組織社会化と社会的自立とのはざまで課題となる「人間の個別性」に着目した。本研究では,大学入試偏差値45-55の大学を中堅大学,60以上の大学を難関大学と設定した上で,関東の7つの私立中堅大学に通う大学生471名と,関西の国立難関大学に通う大学生335名に対して同一の質問紙調査を実施し,比較検討した。「キャリア構築行動への関与」に有意な正の影響を与える要因を検討した結果,中堅大学では「相互共感性」「危機と探索」,難関大学では「相互共感性」「孤立感」「人間本来の孤独感」であった。キャリア発達支援をそれぞれ異なるアプローチで実施する必要性が示唆された。

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