栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
人乳と牛乳の窒素分布および非たん白態窒素化合物について
西川 勲村田 信子出家 栄記川西 悟生古市 栄一
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1976 年 29 巻 2 号 p. 77-83

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抄録

1) 日本人の人乳の窒素分布を求めた。粗たん白質含量 (全窒素×6.38) は分べん後の日数につれて, 従来の結果と同様な減少の傾向を示した。
2) 全窒素に対するカゼイン態窒素の割合は, 人乳I (分べん後1~10日まで) 8.9%; 人乳II (分べん後10~115日) 37.0%; 牛乳78.0%であった。
3) 全窒素に対する乳清たん白質態窒素の割合は, 人乳I 60.5%; 人乳II 39.3%; 牛乳16.9%であった。
4) 全窒素に対する非たん白態窒素の割合は, 人乳I 30.6%; 人乳II 23.7%; 牛乳5.1%であった。
5) 非たん白態窒素のおもな成分として, 尿素, クレアチン, アミノ糖, 遊離アミノ酸の含量とそれら化合物の窒素が全窒素あるいは非たん白態窒素中に占める割合を人乳と牛乳について求めた。人乳は牛乳よりアミノ糖, 遊離アミノ酸を多く含有する。
6) 非たん白態窒素化合物の多い人乳のような食物の栄養評価には, 真のたん白質レベルあるいは正しいたん白質換算係数が用いられるべきであろう。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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