栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
進行性筋ジストロフィー患者の至適体位について
木村 恒
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1976 年 29 巻 6 号 p. 325-333

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抄録

主としてD型, 男, PMD患者の肥満とるい痩の頻度およびその要因, 肥痩の弊害を機能障害, 死因などとのかかわり合いから検討を試み, 次のような結果を得た。
1) D型患者650名の年齢別平均ローレル指数を基準とし, 各+20%以上を肥満者, -20%以下をるい痩者とすると, 前者は17.4%, 後者は17.1%といずれも高率であった。
2) 本症の肥痩の要因は, 主として栄養摂取量, とくにカロリー摂取量の過不足によるものと考えられる。
3) D型患者は, やせているよりもふとっているほうが貧血傾向者も少なく, 肺機能も優れていた。そして患者の平均ローレル指数の+10%から+20%の間の体位を有する者が, 障害度, 脊柱側彎, 下肢の変形も少なく, 肺活量も高かった。この体位あたりに, 本症の至適体位の存在が推定される。
4) 本症患者のローレル指数と皮下脂肪厚の間には正の相関関係が成立し, その回帰直線はY=2.449X+71.945 (Y=ローレル指数, X=皮下脂肪厚mm) であった。なお, 体重と皮下脂肪厚の間にも相関係数0.821の有意な正の相関関係を認めた。
5) D型患者の死亡1ヵ月前の体重は著しく少なく, 23.9kg以下が58.7%と高率であった。
6) 生前機能訓練を積極的におこなった患者は, 体重も肺機能もすぐれていたが, 心不全で死亡する率が高く, 消極的な患者のほうは, 体重が少なく, 肺活量も低く, 感染症で死亡するケースが多かった。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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