栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
南九州における血清鉄ならびにヘモグロビン含量の地域差について
安藤 満脇阪 一郎小屋敷 武彦
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1972 年 25 巻 7 号 p. 555-560

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抄録

各地域集団を, 鉄分代謝の面からみた場合, その地域集団の鉄分吸収量にみあった体内鉄含量が期待される。血清鉄およびヘモグロビン含量は, 体内鉄含量を反映するので, これらの値になんらかの地域差が存在することが考えられる。ここでは, 各地域の男女の血清鉄含量, およびヘモグロビン含量を比較することにより, 体内鉄含量の地域差を検討してみた。その結果, 以下の結論を得た。
1) 各地域の男女の血清鉄含量の平均値の間には, 有意な相関がある。
2) ヘモグロビン含量についても同様に有意な相関がある。
3) 集団内においては, 閉経期前 (ここでは, 一応45歳未満とした) の夫婦の血清鉄含量について, 有意な相関が認められる。
4) 鉄分吸収に影響する要因の摂取量と, 血清鉄含量の関係を, 閉経期前の女性について検討してみた。鉄分吸収に影響する要因として, 鉄分・動物たん白質・ビタミンCをとり, これらの摂取量, および摂取量の組合せと, 血清鉄含量との相関をみてみた。動物たん白質の摂取量が第一要因として血清鉄含量に作用し, それに第二要因の鉄分摂取量を組み合わせたものが, もっとも強い相関を与えることがわかった。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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