日本栄養・食糧学会誌
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糸状菌の産生するカビ毒の変異原性と極微弱発光との関係について
高橋 治男矢崎 廣久木村 修一長田 和実
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1992 年 45 巻 2 号 p. 169-173

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抄録

Aspergillus, PenicilliumならびにFusarium属糸状菌の産生するカビ毒21種, すなわち, アフラトキシン (AF) B1, B2, G1, G2, ステリグマトシスチン, オクラトキシンA, 麹酸, D-セカロン酸, ルテナスカイリン, グリセオフラビン, PR-トキシン, ルブラトキシンB, パツリン, ペニシリン酸, シトリニン, シクロピアゾン酸, モニリフォルミン, ゼアラレノン, T-2トキシン, ニバレノール, フザレノン-X, についてAmesテストによる変異原性を調べるとともに, S9 mix添加における極微弱発光の測定を行い以下の結果を得た。
1) Amesテストではビスフラン環を有するAFB1, G1には明らかな, また, B2およびステリグマトシスチンには弱い変異原性が認められた。これまで. Amesテストで変異原性が報告されていたAFG2ならびにエポキシ環を有するPR-トキシンは, 今回陰性であった。この他, ニバレノールを含め他の供試カビ毒も陰性であった。
2) 極微弱発光による測定においては, 対照値の30%を超えて発光が見られたのはAF類, ステリグマトシスチン, PR-トキシンおよびシクロピアゾン酸であった。シクロピアゾン酸を除けば, いずれも今回, あるいはこれまでAmesテストで陽性を示した毒素であり, 極微弱発光とAmesテストの結果はほぼ一致しているといえる。トリコテセン系化合物のフザレノン-Xも比較的強い発光が観察された。

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