日本心臓血管外科学会雑誌
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[大血管]
冠動脈バイパス術後9年目に症候性腕頭動脈高度狭窄,左総頸動脈閉塞を来し部分弓部大動脈置換術を行った高安動脈炎の1例
井上 大志大村 篤史邉見 宗一郎濱口 真里辻本 貴則村上 優中井 秀和山中 勝弘井上 武岡田 健次
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2021 年 50 巻 2 号 p. 101-105

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抄録

症例は49歳の男性.9年前に高安動脈炎に伴う左冠動脈主幹部高度狭窄に対して冠動脈バイパス術(右内胸動脈-左前下行枝,左内胸動脈-側壁枝)を施行された.経過中に左総頸動脈閉塞,腕頭動脈の狭窄病変が進行し前失神発作を認めるようになった.弓部分枝の血行再建が必要と考えられ手術加療を行うこととなった.上行大動脈は45 mmと拡張し高度石灰化を伴っていたため上行大動脈をinflowとするバイパス術は困難と判断し部分弓部大動脈置換術を行うこととした.送血は右腋窩動脈へ吻合した人工血管および左大腿動脈を選択し,低体温循環停止後,上行弓部大動脈を切開した.脳保護は右腋窩動脈へ吻合した人工血管および左鎖骨下動脈からの順行性脳灌流により行った.左総頸動脈は内頸動脈分岐部まで閉塞していたため再建せず,右総頸動脈および右鎖骨下動脈を別個に再建する部分弓部大動脈置換術を施行した.両側内胸動脈は開存していたが,グラフト損傷せずに手術を終了した.術後経過は問題なく,術後20日目に独歩退院となった.

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