2011 年 54 巻 2 号 p. 153-161
補聴器適合の評価方法には, 客観評価と主観評価がある。今回我々は, 生活環境音が補聴器を介することにより主観評価がどう変化するのかを, 5社の高機能デジタル補聴器と機能が搭載されていない補聴器の計10機種を対象とし検討した。その結果, 雑音下語音明瞭度は, 高機能補聴器の指向性処理機能, 雑音抑制処理機能共にonの設定で最も高値であった。雑音下語音明瞭度と環境音の印象評価項目の評価値との間には相関は見られなかったことから, 補聴器適合検査は語音明瞭度などの客観的評価と自覚的評価は別々に評価することが必要である。4種類の環境音についての評価は, 周波数特性や雑音の特性によりそれぞれ異なる傾向の評価となった。従って, 環境音による評価は, 評価項目の傾向が異なる複数の検査音で行う必要があると考えられた。