AUDIOLOGY JAPAN
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小児人工内耳症例の言語発達
補聴器装用児との比較
野中 信之大森 千代美越智 啓子山田 理恵宮下 武憲森 望
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2006 年 49 巻 3 号 p. 244-253

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抄録

2歳4ヵ月から9歳8ヵ月までの間に手術を受けた小児人工内耳群12例の日常会話での聴覚活用度と言語発達を補聴器装用群19例との比較のもとに, 症例のことばの基盤の発達の程度を考慮に入れながら検討した。補聴器群は言語発達の特徴から急峻型, 長期停滞型, 中間型に分類された。人工内耳群は術前多くが長期停滞型の領域をたどっていたが術後はその領域から次第に脱し, 半数が言語発達正常となり, 残る半数も正常域に向かって伸びていた。また手術年齢ごとに言語発達の速さと日常会話での聴覚活用度を検討すると, 4歳前に手術を受けた症例に, 急峻型に近い急速な言語発達と良好な聴覚活用を示す場合が多かった。ことばの基盤が不良な症例は補聴器群では全例長期停滞型の言語発達を示したが, 人工内耳群の1例は術後は次第に長期停滞領域から脱し, 言語発達は正常となった。

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© 日本聴覚医学会
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