AUDIOLOGY JAPAN
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一側性感音難聴児の研究
聾型以外の症例について
細谷 有美子
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2003 年 46 巻 1 号 p. 81-89

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抄録

一側性感音難聴のうち, 他側がまったく正常で, しかも原因と考えられるものがない, という症例, 特に小児例では自覚症状に乏しく, 日常生活の支障度も少ないが, 経過をみると, 後にめまいや聴力悪化をきたしてくる症例がある。今回我々は, 1970年4月から2002年3月までの過去33年間に, 当科小児難聴外来を受診した感音難聴児のうち, (1) 現病歴, 既往歴, 諸検査成績などから, その発症に明らかな因果関係を持つ原因が不明なもの, (2) 初診時一側が正常で, 他側が聾型以外のもの, という条件を満たした211例 (男児113例, 女児98例) を対象とし, 検討を行った。性差, 左右差を認めず, 全症例の中には前庭水管拡張, 内リンパ水腫, 遺伝性難聴が含まれていると思われた。聴力悪化やめまいを認めた症例は55例 (26.1%) で, その中には内リンパ水腫が病態と考えられる症例を認めた。

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