AUDIOLOGY JAPAN
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特発性低髄液圧症候群に伴った両側急性低音障害型感音難聴の1例
中島 成人
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2002 年 45 巻 2 号 p. 187-191

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抄録

38歳の主婦で, 何等誘因なく激しい頭痛, 項部痛, 嘔吐発作後, 3日目より左耳, 次いで右耳に難聴と耳鳴が発症。 これらは横臥することで軽減した。 聴力検査では中-低音部にて右耳で35dB-60dB, 左耳で25dB-30dBの感音難聴を認めた。 37.1度と発熱を認めたため髄膜炎を疑い内科紹介, 即入院となる。 とくに髄膜炎の徴候はなく, 腰椎穿刺で髄液の排出が認められず, MRIで脳室の狭小化とガドリニウムによる髄膜強調が認められ, 特発性低髄液圧症候群と診断された。 中-低音部の難聴は15分の臥位で低音部が15dB-20dBの改善を示した。 治療は輸液のみで, 自然緩解を期待した。 本症による低音部の難聴は蝸牛水管を介した外リンパ圧の低下による相対的な内リンパ水腫と坐位による脳全体の下方偏位による脳神経の圧迫によると推察された。

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