AUDIOLOGY JAPAN
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音響外傷におけるメチルプレドニゾロンの治療効果について
高橋 和彦木村 伸一和田 哲郎阿瀬 雄治原 晃草刈 潤
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1995 年 38 巻 4 号 p. 291-297

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抄録

ステロイドは, 内耳性難聴の治療によく用いられ臨床的経験上効果があるとされている薬剤である。 今回我々は, 白色モルモットを用いて強大音負荷後毎日メチルプレドニゾロン (mPSL) を腹腔内投与し1週間後に蝸牛神経複合活動電位閾値を測定し閾値上昇を比較し, ステロイドの音響外傷に対する治療効果を検討した。 強大音として2 kHz純音, 110dB, 115dB, 及び120dB SPLを10分間負荷した。 mPSL投与量として120dBでは12mg/kg及び40mg/kg, 115dBでは12mg/kg, 110dBでは12mg/kgとし, 対照群では生理食塩水を投与した。 115dB及び120dBの場合にはステロイドの効果はなかったが, 110dB負荷の場合には明らかにステロイド投与群の方が対照群に比べて閾値上昇は軽度であった。 これらの結果より, ステロイドは治療薬として比較的軽度の強大音負荷の場合には有効な薬剤であると考えられた。

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