AUDIOLOGY JAPAN
Online ISSN : 1883-7301
Print ISSN : 0303-8106
ISSN-L : 0303-8106
聴性脳幹反応における双極子解の大きさ
泰地 秀信
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 36 巻 1 号 p. 35-41

詳細
抄録

ABRのI波およびV波について電流双極子のベクトル成分を求め, その臨床的有用性を検討した。 I波・V波とも双極子のベクトルの大きさにはかなり大きな個体差がみられ, 今回用いた方法では臨床応用にはまだ問題があるものと思われた。 I波においては刺激音圧が90から60dBnHLまでは音圧の減少とともに著しくベクトルの大きさが減少したが, 刺激音圧60dBnHL以下ではベクトルの大きさの変化はゆるやかであり, これは蝸電図APのH曲線とL曲線に対応するものとも考えられた。 また刺激音圧を減少させると, I波のベクトルの大きさの減少の方がV波のベクトルの減少より著明で, これは神経パルスの同期性と関連した現象とも推測された。

著者関連情報
© 日本聴覚医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top