2023 年 53 巻 p. 79-84
【目的】今後のロービジョンケアをより効果的に行うことを目的に、補装具申請の実態を調査し検討した。
【対象と方法】2018年1月~2020年12月に獨協医科大学埼玉医療センター眼科(当科)で補装具を申請した158名を対象に、年齢分布と性別、原因疾患、障害等級分布、身体障害者手帳(手帳)の障害名、補装具の種類、疾患別・等級別の補装具申請件数、1人あたりの補装具の平均申請件数を調査した。
【結果】平均年齢は64.6±16.9歳、60代以上が全体の67.7%を占め、男性55.1%、女性44.9%であった。原因疾患は、網膜色素変性26.0%、緑内障24.7%、糖尿病網膜症19.0%の順に多かった。障害等級は1級20.8%、2級45.6%、3級7.0%、4級9.5%、5級14.6%、6級2.5%。手帳の障害名は、「視力・視野障害」が36.1%、「視野障害」が38.6%、「視力障害」が25.3%。義眼、眼鏡4項目(矯正・遮光・コンタクトレンズ、弱視)、白杖の計6項目ののべ件数は293件で、遮光眼鏡が全体の50.5%、次いで白杖が33.2%であった。補装具全体の疾患別の申請件数は、全疾患で遮光眼鏡と白杖の順に上位を占めた。等級別の申請件数は、1級、2級の重度障害が多かった。また、1~6級までの全等級で申請があり、1人あたりの申請件数は平均1.9件であった。
【結論】疾患を問わず遮光眼鏡と白杖のニーズが高かったことから、ロービジョンケアにおいては羞明と歩行の評価が重要と思われた。また、疾患や等級にかかわらず複数申請を想定し、積極的に補装具の申請をする必要が示唆された。