日本視能訓練士協会誌
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一般講演
健常眼における中心窩無血管域の経時的変化
秋田 樹里坂手 澪藤原 篤之金永 圭祐後藤 保人稲垣 明日香白神 史雄
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2019 年 48 巻 p. 103-110

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抄録

【目的】OCT angiography(OCTA)を用いて1年以上の経過観察ができた健常眼を対象に、中心窩無血管域(FAZ)面積の経時的変化を評価した。また、経時的変化に影響を与える因子を検討した。

【対象及び方法】対象は眼疾患の既往がない40眼(45.0歳)とした。測定は2回行った。1回めは基準となる測定(基準測定)で、2回めは基準測定から1年以上2年以下の間に測定を行った(1年後測定)。各時期での測定はOCTAを用いて右眼を撮影した。また、等価球面度数(SE)、眼軸長(AL)、網膜血管密度(RVD)、中心網膜厚(CRT)を評価しFAZ面積の経時的変化との関連を検討した。

【結果】基準測定の平均FAZ面積は0.36 mm2、1年後測定は0.35 mm2で有意差はなかった(p = 0.81)。またBland-Altman解析の結果、FAZ面積の経時的変化の平均値は0.003 mm2であり比例的一致関係はなかった(p = 0.92)。SEとALは各測定時期の間に有意差(p < 0.01)があったが、RVDとCRTは有意差がなかった(RVD: p = 0.10、CRT: p = 0.20)。経時的変化に影響を与える因子について重回帰分析を行った結果、有意な因子はなかった(p = 0.70)。

【結論】FAZ面積は2年以内での経時的変化はなく、影響を与える因子はなかった。

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© 2019 公益社団法人 日本視能訓練士協会
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