1985 年 31 巻 p. 59-62
有明干拓地産のタマネギはその背後地産に比べて夏期貯蔵中,黒かび病による腐敗が多かった。この原因を調べるため両地区の土壌分析を行ったところ,背後地に比べて有明干拓地土壌にはMg++,Na+,K+が約2倍多く含まれていた。水耕試験において,Mg++とNa+を多量に含んでいる水耕液で育成したタマネギによるCa++吸収は阻害され,本病に対する罹病性は増加した。Mg++とNa+によるCa++吸収の拮抗的な阻害の結果からタマネギ鱗茎中のCa++含量と本病に対する罹病性とは負の相関を示した。