地理学評論 Ser. A
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盛岡市における居住地域の生活環境と土地利用との関係
SPOT衛星画像を用いたRS/GIS分析
関根 智子
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1999 年 72 巻 2 号 p. 75-92_2

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抄録

本研究では,衛星画像データに基づき分類された土地利用と,地形や道路などの諸条件が,居住地域の生活環境とどのように関係しているかを分析することを試みる.リモートセンシング(RS)を利用することによって,SPOT衛星画像データから,市街地,空き地,畑・草地,水田,果樹,森林,水域の7タイプの土地利用が識別された.さらに,それらの土地利用区分に基づき,地理情報システム(GIS)を用いてベクトル形式の土地利用分類図が作成された.生活環境評価圏としては半径500m圏を設定し,評価圏内の生活関連施設への近接性から生活環境水準を求めるとともに,ベクトル形式の土地利用分類図,DEM(デジタル標高モデル),およびデジタル道路地図上に評価圏を重ね合わせ,評価圏内の土地利用構成割合,標高差,道路密度をそれぞれ算出した.
これら九つの土地利用に関連する変数間の多重共線性を除去するため,主成分分析を行った.その結果,「市街地一森林」,「標高差」,「水田」,「水域」,「空き地」,「果樹」の六っの主成分で全分散の約96%を説明できることが明らかになった.次に,これら六つの主成分を説明変数に,生活環境水準を目的変数にとり重回帰分析を行った結果.「市街地一森林」,「水田」,「水域」,「空き地」の四つの主成分で生活環境水準の変動の約56%を説明できることがわかった.
そこで,四つの主成分に基づき120の生活環境評価圏をクラスター分析し,「市街地」,「市街地・空き地」,「水田」,「森林」,「森林・空き地」,「森林・水域」の六つの地域クラスに分類した.この六つの地域クラスに対し,生活環境水準との間の独立性を求めたところ,やや強い関係があり,また,その関係は1%水準で有意であった.

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