地理学評論 Ser. A
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大阪30km圏における民間分譲中高層住宅の供給構造
香川 貴志
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1993 年 66 巻 11 号 p. 683-702

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抄録

中高層住宅の供給価格(販売価格)は,当該物件の立地場所の容積率の規制上限と地価に大きく左右される.そこで1976-1990年の15年間に供給された大阪30km圏における民間分譲中高層住宅の容積率[(延床面積÷敷地面積)×100]と単位面積当たり販売価格を指標にして,その供給特性を市区単位で6類型に区分した.各類型は大阪市域において高容積率・高価格水準,中容積率・中価格水準,低容積率・中価格水準の3類型が内から外へ同心円状に展開し,都心周辺部の一部で高容積率・中価格水準の類型が,旧来の高級住宅地で低容積率・高価格水準の類型が,各々島状に検出される.しかし中心から10km内外で,各類型の分布は,私鉄沿線別のセクター的なものに移行し,阪急・阪神沿線で低容積率・高価格水準と低容積率・中価格水準の2類型が,京阪・近鉄・南海沿線では低容積率・低価格水準の類型が,各々卓越している.このように大阪30km圏では,民間分譲中高層住宅の供給特性が距離帯別に二重構造化している.

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