地理学評論 Series A
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論説
石狩低地における湾頭デルタの前進とデルタプレインの発達
石井 祐次
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2017 年 90 巻 2 号 p. 105-124

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抄録

河成層のみならず泥炭層が厚く形成された石狩低地において,湾頭デルタの陸化の過程とデルタプレインの発達過程を明らかにした.湾頭デルタの前進に伴う潟湖の埋積と陸化は,海水準上昇速度の低下した約8,000年前に始まり,上流側から下流側へ向けて進行した.陸化直後には河成層の形成が活発ではなく,泥炭層が形成される場合が多かった.約5,600~3,600年前以前にはクレバススプレイの形成やアバルションが生じており,上流側のデルタプレインでは,陸化直後から約200~600年間以上にわたって形成された泥炭層を覆って,河成層が形成された.約5,600~3,600年前以降には東アジア夏季モンスーンの弱化に伴う降水量の低下により河川流量が減少し,低地全体で河成層の形成が不活発となることで,泥炭地が広域的に発達するようになった.その結果,約6,500~6,000年前に陸化した下流側のデルタプレインでは陸化以降,流路付近を除いて泥炭のみが堆積し続けた.

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