近年,低頻度ながらも大規模な災害をもたらしうる地震や噴火などのイベントに社会の注目が集まっている.このような低頻度イベントの周期などの実態解明には,長期間のイベント史の復元が可能なイベント堆積物が大きな鍵となる.1980年代に活断層研究から始まった別府湾のイベント堆積物研究は,多くの研究者とその視点から分析がなされてきた.これらの研究は別府湾のイベント史を明らかにする一方で,その複雑な記録過程も明らかにしつつある.今後,イベント堆積物に基づく記録だけでなく,古環境情報,古文書記録,シミュレーションなどによる総合的な記録過程全体の理解こそが,イベント堆積物解析の発展に向けて重要である.