2009年に,国際地質科学連合で第四紀の始まりがこれまでより80万年古い約260万年前になると正式に決定された.本稿では,この第四紀の始まりを海底コアの酸素同位体比に記録された気候変化から見た時,どのような時代であったかを検討した.その結果,温暖だった鮮新世から更新世に入ると,間氷期には特別な変化はなかったが,氷期には寒冷化が顕著だった.また,第四紀初頭(260~200万年前)の間氷期は,完新世と同様な気候と海水準であったが,当時の氷期は酸素同位体ステージ5a~5dと同様な気候で,海水準も現在より約50±20 m低かったと考えられる.